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ゲームライフ・ゲーム

亜麻矢幹のエンタメコンテンツ

人世一夜の日登美荘
第1話
僕が正義で君が悪 [幕間]


 日之本の部屋。
 午後11時。
 日之本がシュラフに入って寝転がっている。
 アイベリーがクールフォンから身体を出している。

「何か悩んでるね。つきあいの長いアイにはわかるよ。アイに話してごらん」
「ああ、いやな、大家さんが……」
「え、なになに、園川綾乃!? あの女に一目惚れ!? 年上のお姉さんのフェロモンにやられた!?」
「ち、違う! どこかで見たような感じがするって思ったんだ」
「あっそ。淡泊だね」
「どういう意味だ」
「どうもこうもないけどねー。ただ、アイもなんか気になる……園川綾乃……あの謎の女のこと」
「会ったばかりだから何も知らないってだけで、別に謎ってことはないと思うが」
「謎かどうかもわからないのに、アンタがあの女の何を知っているっていうの?」
「だから、知らないって言ってるだろう。おまえこそ超高性能AIなら何かわかってもおかしくないだろう」
「個人情報のハッキングをしろと? まあ、できるけども、基本的には犯罪だから、やめといた方がいいと思うよ? でも、そこまでしてあの女の赤裸々なプライベートを知りたいっていうなら仕方がない、協力するよ」
「そうじゃない! 誰がそんな話をしてる」
「アイにも推理できないよーだ。情報が少なすぎるから。園川綾乃」
「そりゃそうだよな。で、さっきから呼び捨てにしてるのはなんなんだ」
「あの女、なんとなくアイの敵のような気がしてならないのよね」
「根拠があるのか」
「直感」
「ずいぶんと非論理的な言い方だな。根拠はないってことだな」
「いやいやいや。アイの直感はものすごい演算の結果だから精度は高い。だから根拠はあるよ。アイ自身に理解できなくてもね」
「そんなことあるのか?」
「ありうるよ。それすら理解できないのかもしれないけどね」
「煙に巻くようなことばかり言いやがって」
「そんなわけで、アイは今のところあの女とはあまり距離を詰めない方がいいと思ってる。アンタは近づきたいのかもしれないけど」
「そんなふうには思ってない」
「あっそ。淡泊だね」
「言ってろよ」
「でさ、さっき一目惚れしたかって聞いたとき、一瞬動揺してたみたいだけど、あれは何?」
「……もう寝る」



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