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ゲームライフ・ゲーム

亜麻矢幹のエンタメコンテンツ

人世一夜の日登美荘
第2話
登場!爆裂プリンセス! [#8]


「むぉ? なんじゃ、今の音は。それに、この揺れは」
「地震というわけでもなさそうですが……騒がしいですねー」
 商店街の入り口に差し掛かったまほとしもべは、すぐにその騒動の原因を見つけた。
「あれはケンカか?」
「どっかんどっかんは……あのせいでしたか」
 遠巻きにパワースーツ姿のふたりによる派手な肉弾戦を見て、まほはため息をついた。
「野蛮でいかんの。もっと仲よくできぬものか」
「まほ様……どっかんどっかん……こっち、近づいてくる」
「むぉ? おわわわわわ!」
 しもべがつぶやいた直後、吹き飛ばされたジャスティーダが、まほの足下のレンガに叩きつけられた。
「あいたた……ちっくしょーっ」
「な、な、な、なんじゃ、そなたは! あ、危ないではないか!」
「ご、ごめんよ……ケガはないか!?」
「な、ないわ! あってたまるか!」
「それは何よりであった。危ないから下がっていなさい!」
 ジャスティーダはまほたちに注意を促すと、さっと起き上がり、商店街へと走っていく。まほはその後ろ姿を呆然として見つめた。
「な、なんなのだ、あれはっ」
「まほ様、また来た」
「のひゃ!?」
 今度はシャイニング・レディが宙を舞い、まほの足下に叩きつけられた。
「いたた、もうっ……あ、大丈夫ですか!? ケガはないですか!?」
「あってたまるかー!」
「それはよかった。でも、危ないですから下がっていてください!」
 シャイニング・レディは注意を促すと、さっと起き上がり、商店街へと走っていく。その後ろ姿を唖然として見つめるまほ。
「なんと治安が悪いのだ。エレガントさのかけらもないではないか」
 そのとき、たくさんの人たちの「危ない」という叫び声と悲鳴が聞こえた。
「今度はなんじゃ……むぉ?」
 まほは、いつの間にか自分が何か大きなものの影に入っていることに気がついた。上を向いて、その理由がわかった。度重なる衝撃でアーケードを固定していたワイヤーが切れてしまい、入り口の柱が傾いて倒れてくるところだったのである。
「ぁ……」
 咄嗟のことで身体が動かない。まほは、大きく口を開けたまま、ただただ、己にゆっくりと近づいてくる巨大な柱を見つめていた。そして、
「ああああああああああああ!」
 まほは絶叫した。
「まほ様!」
 咄嗟にしもべが俊足を見せた。まほの身体を抱えて横に飛んだ。次の瞬間、倒れた柱が地面を叩く。商店街の看板がはずれて金具が地面を削り、レンガのつぶてと電球が跳ねる。
「まほ様……無事?」
 しもべが腕の中の主に優しく問いかけると、蒼白な面持ちのまほはやっとのことで声を絞り出した。
「あ……な、なんとか……な……」
「よかった……」
 ふたりはゆっくりと立ち上がった。まほは震えていた。そして……、
「くぬぅっ……」
 まほの片方の眉がピクリと動き、たちまち顔全体が真っ赤に染まっていく。
「くっ、くっ、くぬぅっ……なんと粗暴な者どもじゃ!」
 まほは拳を握りしめた。身体の震えはより激しくなった。今度は怒りのためだ。
「まほ様、危ないですから……下がりましょう」
「何を言うか……こんな目に遭わされて、おめおめと引き下がれというのか!」
 まほはいまだ轟音が鳴り止まぬ中心地を睨み、低く唸った。
「そうとも。こちらの連中のエレガントならざる態度にはうんざりじゃ。かくなる上は、わらわが矯正してくれる」
「お仕置き……ですか」
「しかり! 変身じゃ、邪姫丸・・・!」
「! おー」
 まほとしもべは、近くのコンビニエンスストアに入った。これでもお忍びである。変身するところをこちらの人間に見られるわけにはいかないのだ。幸い店員は既に店から避難していて誰もいなかった。
「チェジカル!」
 まほが叫ぶ。
「チェーゼ!」
 しもべが続いた。そして、ふたりの周りを光が包む。ジャスティーダと異なり、彼女らの変身は、より合理的に行なわれる。まほは身体の周囲にある分子の入れ替えができるし、しもべは自分の身体そのものを変化させることができる。光が収まると、まほは『優雅姫エレガントプリンセスシャドー』の姿になっていた。正確には本来の格好に戻ったわけである。そして、しもべは『邪姫丸』の姿へと変わっていた。だが、小動物の姿ではなく、頭部はそのままだがボディを細長くして硬化させたワンド形態となっていた。彼女はシャドーの武器ともなれる使い魔である。これにより、ふたりは強力な魔法を扱うことができるようになるのだ。シャドーは邪姫丸のボディをつかんだ。
「あの無礼者どもに、わらわを愚弄した罪の重さを教えに行くとしようぞ!」
「おー、ですみゃ!」



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